今日は「保険にかかわる税金」を取り上げます。
せっかく計算して保険かけたのに、税金かかって減っちゃったら当てが外れて困ることになるよね。ちゃんと知っておこう。
税金まわりはしょっちゅうルールが変わるから、あくまで現時点でということと、詳細は保険会社や税理士さんに必ず確認してね。今回は税金を払うという話ではなくて、税金が安くなるという話です。
税金についてはぼくに聞いてくださいね。
バッジがしゃべった!!なんのバッチ?え、税理士バッジってこんな感じなのか。初めて知った。自分の場合はどうなるかは税理士さんに聞くとして、一般的にはどうなのか教えてよ。税金が安くなるんでしょ??
保険料を支払うときの税金(所得控除)
保険は、保険料を支払って、保険金を受け取るというのが基本です。所得に対しては「所得税」と「住民税」が課税されますが、保険料を支払うと、これらの税金が安くなる場合があります。途中で制度が変わっているので、新制度と旧制度でルールが違っているけど、これから保険に入る人のために「新制度」でお話しします。「新制度」の保険控除は3種類あります。あ、ここでする話は、似たような商品であっても、「少額短期保険」は控除対象外です。
- 一般生命保険料控除
- 介護医療保険料控除
- 個人年金保険料控除
この区分それぞれに対して、控除枠があるので、それぞれに年間8万円以上かけていれば満額の4万円ずつの所得控除が受けられます。同様に住民税も2.8万円ずつ控除されます。ただし住民税は3つ合わせて7万円が限度額です。
ということは19万円も税金安くなるの?すごい!!
あ、ハルちゃん、所得控除というのは、支払うべき税金を算出するための課税所得額からの控除引かれるから、これに税率(所得税は速算表で確認、住民税は10%)をかけたものが実際に減る金額だよ。ちなみに税金から直接差し引かれて払う税金が減るものは税額控除といわれている。
そうなの?それでも安くなることには違いないね。手続きしなくても勝手に税金安くなるの?
確定申告時に申告しないと所得控除は受けられません。サラリーマンの人なら年末調整でもできます。忘れないように手続きしましょう。年末が近くなると保険会社から控除証明書が送られてくるので、その内容に基づき申告し、証明書を添付します。最近では、e-taxで電子的控除証明書の添付でもよくなっています。
そうそう、さっき出てきた3つの控除ってどういう保険がどれなの?
3つの保険料控除
まずかんぽ生命が表を出しているのでそれを見てみよう。新旧とも出てるよ。
一般生命保険料控除
一般生命保険料控除は、国税庁では下記のものとしています(新契約のみ抜粋)。
対象となる保険契約等の主なものは平成24年1月1日以後に締結した次の契約もしくは他の契約等に附帯して締結した契約(新契約)で、保険金等の受取人のすべてをその保険料等の払込みをする方またはその配偶者その他の親族とするものをいいます。
(イ) 生命保険会社または外国生命保険会社等と締結した生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約
(ロ) 旧簡易生命保険契約のうち生存または死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
(ハ) 農業協同組合と締結した生命共済契約その他これに類する共済に係る契約のうち生存または死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
(ニ) 確定給付企業年金に係る規約または適格退職年金契約
国税庁 No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等
待って待って待って!!!ぜんぜんわからないよ!!!
まとめるとこういうこと
- 保険金の受取人が自分か親族
- 生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約(旧簡易保険、JA共済、コープ共済含む)の保険料
- 確定給付企業年金において加入者拠出がある場合の加入者負担掛金
確定給付企業年金の加入者拠出は、企業型確定拠出年金のマッチングとは別物だよ。
具体的な商品で言うと下記の通り
- 定期保険
- 養老保険
- 学資保険
- 終身保険
- 変額個人年金保険
- 個人年金保険料税制適格特約のない個人年金保険(一時払いなど)
- 収入保障保険
介護医療保険料控除
介護医療保険料控除は、国税庁では下記のものとしています(新契約にしかない)。
対象となる保険契約等とは、平成24年1月1日以後に締結した次に掲げる契約または他の保険契約に附帯して同日以後に締結した契約のうち、これらの契約に基づく保険金等の受取人のすべてをその保険料等の払込みをする者またはその配偶者その他の親族とするものです。
(1) 生命保険会社もしくは外国生命保険会社等または損害保険会社もしくは外国損害保険会社等と締結した疾病または身体の傷害等により保険金が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由に基因して保険金等が支払われる保険契約
(2) 疾病または身体の障害等により保険金等が支払われる旧簡易生命保険契約または生命共済契約等のうち一定のもので、医療費等支払事由により保険金等が支払われるもの
国税庁 No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等
まとめるとこういうこと
- 保険金の受取人が自分か親族
- 疾病または身体の傷害等により保険金が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由に基因して保険金等が支払われる保険契約(生保損保とも。旧簡易保険、JA共済、コープ共済含む)の保険料
具体的な商品で言うと下記の通り
- 医療保険(特約)
- がん保険(七大疾病保険)
- 介護保障保険
- 所得保障保険
- 就業不能保険
支払い対象が、障害(=ケガ)のみが対象となっている保険は控除対象外だよ。(傷害保険、スポーツ保険、交通災害共済など)
個人年金保険料控除
個人年金保険料控除は、国税庁では下記のものとしています。新旧あるけど、新だけ記載します。
(1) 平成24年1月1日以後に締結した保険契約(新個人年金保険料)
対象となる保険契約等の主なものは平成24年1月1日以後に締結した上記対象となる生命保険契約等(1)(イ)から(ハ)までの契約のうち年金(退職年金を除きます。)を給付する定めのある保険契約等または他の保険契約等に附帯して締結した契約で、次の要件の定めがあるものをいいます。
(イ) 年金の受取人は、保険料もしくは掛金の払込みをする者、またはその配偶者となっている契約であること。
(ロ) 保険料等は、年金の支払を受けるまでに10年以上の期間にわたって、定期に支払う契約であること。
(ハ) 年金の支払は、年金受取人の年齢が原則として満60歳になってから支払うとされている10年以上の定期または終身の年金であること。
(注) 被保険者等の重度の障害を原因として年金の支払いを開始する10年以上の定期年金または終身年金であるものも対象となります。
国税庁 No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等
まとめるとこういうこと
- 年金の受取人が自分か配偶者
- 保険料は10年以上の期間にわたって、定期に支払う契約(=一時払いはだめ)
- 10年以上の有期もしくは終身年金で、年金の受取人が60歳以上になってから受け取り開始となるもの
すべての条件に合致した保険に対して、「個人年金保険料税制適格特約」をつけると、個人年金保険料控除対象になります。なかなかハードルが高い。個人年金保険のうちの一部だけが対象商品です
せっかくだから控除全部使ってやろうと思ったけど、使うのも大変なんだね。特に最後の年金。
控除を使うメリットと、運用利回りを考えた時にほかの商品にするメリットなどを比較して選定しようね。全然気にしない、税金一円でも安くしたい!!という人も中にはいるかもしれないから、そういう方は控除使い切る線から選んでもよいと思います。なお、個人年金保険料税制適格特約ありの外貨建てのものを扱っている会社もあります。
保険料を払うと税金が安くなることは理解しました!!税金安くするために保険はいるのは本末転倒な気もするからよく考えよう。次回は保険金受け取るときの税金の話だって。
あ、次回は、受け取り時の税金の話をする前に、払込方法での控除の違いについて、もう一度おさらいします。